中国掛軸について

日本人は古くから中国の書画を大切にしてきました。
鎌倉時代以降に禅宗とともに伝えられた宋・元の時代の書画を始め、明治以降に清朝の崩壊の混乱とともに入ってきた数多くの名品が日本の収集家によって大切に保存され伝えられています。

目次

中国書画の特徴

中国には「詩画一如」「書画同源」という、「詩」と「絵画」は切り離せないものであり、「書」と「絵画」は本来同じ根から生まれたという伝統的な考え方があります

それゆえに、文人・士大夫が自ら筆をとり、鑑賞した絵画、すなわち文人画が重要な位置を占めることとなります。文人とは、儒教的価値観を基盤にした教養と道徳を身に付けた知識層のことであり、一般庶民とははっきりと区別されていました。
宮廷画家や民間の職業画家なども存在しましたが、明末の董其昌のような理論家は、文人画を上位に置き、職業画家の絵画は、たとえ技巧の点で優れていても、文人画よりは一段価値の下がるものとみていました。

中国絵画のジャンル

  • 山水画
  • 花鳥画
  • 人物画
  • 走獣画
  • 道釈画(宗教絵画)

この中でも山水画は、文人画が主流で絹(または紙)に墨一色で描かれた水墨画が多くを占めます。文人にとっての山水画とは、単なる風景画ではなく、彼らが理想とした、俗世間を離れた理想郷を表したものでした。

落款について

落款は書画を作成した際に、いつ、だれが、どこでどんな目的のために作成したという情報を書き付けたもののことで、更に印章を捺されていることがほとんどです。

落款は、作者のサインであり完成品であることを意味しますが、中国書画の場合、落款自体に芸術的価値を認め、落款を含めて作品として鑑賞します。

鑑定の際にも、落款は欠かすことのできない基本的な情報となります。
落款印は作者の印章ですが、中国の書画でたくさんの印が押されている作品の場合は、「自分の所有物である」という意味で押された持ち主の印であり、持ち主が印の数だけ変わっている可能性があります。

高額が期待できる中国掛軸は、やはり有名作家のものですが、落款や落款印は普通の人には読めないようなものも多くあります。
そんなときは専門の鑑定士に依頼してみることをおすすめします。

中国の書画作家

【隋唐】

・呉道玄・閻立本・尉遅乙僧・張萱・周昉・韓幹・李思訓・昭道・王維

【五代・宋】

・董源・巨然・荊浩・関同・李成・范寛・郭熙・米ふつ・米友仁・蘇軾・徽宗・李公麟・馬遠・馬麟・夏珪・李迪・李唐・梁楷・文同・許道寧・燕文貴・趙令穣・郭忠恕・江参・黄筌・徐熙・趙昌・崔白・呉元瑜・周文矩・張沢端・劉松年・蘇漢臣・揚無咎・趙孟堅・李嵩・牧谿

【元】

元末四大家 ・黄公望・呉鎮・倪さん(げいさん)・王蒙

・朱徳潤・唐棣・顔輝・孫君沢・銭選・趙孟ふ・高克恭・李かん・方従義・曹知白・柯九思・朱徳潤・唐棣・張渥・盛懋・王冕・王淵

【明】

・董其昌・黄道周・傅山・王鐸・文徴明・董其昌・唐寅・仇英・徐渭・呉彬・戴進・沈周・趙原・王履・謝縉・夏ちょう・杜瓊・劉かく・王ふつ・姚綬・李在・林良・呂紀・辺文進・周文靖・孫龍・倪端・呂文英・王諤・朱端・陳子和・呉偉・張路・蒋嵩・汪肇・鄭顛仙・鍾礼・陳淳・陸治・文伯仁・居節・謝時臣・周之冕・史忠・呉彬・丁雲鵬・陳洪綬・崔子忠・米万鍾・藍瑛・李流芳・張瑞図・倪元ろ(げいげんろ)・趙左・沈士充・蕭雲従

【清】

四王呉惲 ・王時敏・王鑑・王き(羽の下に軍)・王原祁・呉歴・惲寿平
四僧 ・八大山人・石濤・石谿・弘仁
金陵八家 ・きょう賢(きょうけん)・高岑(こうしん)・樊圻(はんき)・呉宏(ごこう)・

鄒喆(すうてつ)・葉欣(しょうきん)・胡慥(こぞう)、謝そん(しゃそん)
揚州八怪 ・鄭燮(ていしょう)・高翔(こうしょう)・金農(きんのう)・羅聘(らへい)・黄慎(こうしん)・李ぜん(りぜん)・汪士慎(おうししん)・李方膺(りほうよう)・華嵒(かがん)・高鳳翰(こうほうかん)・閔貞(びんてい)・袁江・袁耀・禹之鼎・郎世寧・金廷標・高其佩・沈銓・奚岡・改琦・費丹旭・虚谷・趙之謙・呉昌碩・任頤・黄賓虹・斉白石

【民国】

・高剣父・劉海粟・徐悲鴻・張大千

【現代】

・傅抱石・林風眠・黄冑・呉作人・李可染など