御下賜品とは?皇室・宮家 

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皇室・宮家 御下賜品とは?

御下賜品(ごかしひん)とは、皇室や宮家から贈られた品物のことで、皇室に対して何らかの功績があったり、皇室のために勤めをしたときに賜った品物のことです。
現在は御下賜品を賜るという機会は少なくなり、その機会には和菓子などが配布されることが多いようですが、戦前まではさまざまな品物が下賜されました。
有名なものでは恩賜時計(おんしどけい)やボンボニエール・シガレットケース・花瓶・盃などの銀製品が挙げられます。
戦前に賜ったボンボニエール・シガレットケース・花瓶・盃などの銀製品は名工の手によるものが多く、皇室を象徴する16枚の花弁の「菊の紋」が刻印された特注のものです。

恩賜時計

恩賜時計には2種類あります。ひとつは天皇が功績のあった重臣に与えた金時計で、もうひとつは官立学校の優等生に授与された銀時計でいずれも懐中時計です。

恩賜の金時計

恩賜の金時計を賜ったのは西郷隆盛・伊藤博文・東郷平八郎・乃木希典などの明治の高官に限られます。

恩賜の銀時計

恩賜の銀時計は、もともとは軍学校の優等卒業生に授与され、陸軍士官学校から始まり、陸軍幼年学校、整理学校、富山学校、騎兵学校、海軍の水雷学校、砲術学校、工機学校、経理学校などに広まっていきました。

帝国大学では、東京帝国大学、京都帝国大学、九州帝国大学、東北帝国大学、学習院、東京商船学校に恩賜の銀時計がありました。
ただし、帝国大学は1918年度からは恩賜を辞退したため、帝国大学で恩賜時計を賜った卒業生は推定458人と言われています(内、東京帝国大学が323人)。
軍学校関係と合わせると3600個から4700個ぐらいが授与されたと推定されます。

恩賜の銀時計は、ウォルサム、エルジン、ゼニスなどのアメリカ、スイス製で、1907年からはセイコーシャのセキセレント、1930年からはセイコーシャ17型が使われました。

恩賜の銀時計は、懐中時計の蓋に「御賜」または「賜」という彫りがあります。

ボンボニエール

ボンボニエールはボンボン(砂糖菓子)を入れる小さな菓子器のことで、日本では皇室のお祝い事の際に配られます。
上皇陛下が平成2年に即位された際にも、銀製のボンボニエールが配られました。

皇室のボンボニエールは明治20年代から始まり、さまざまな意匠がされた工芸品が制作されました。

中には船の形や兜の形など変わった意匠のボンボニエールも制作されており、外国人に贈られることも多かったことから日本の伝統的な物を模したものが多く制作されました。

御下賜品のボンボニエールには銀製の他に陶製のボンボニエールも存在します。

シガレットケース

皇居の清掃ボランティアには煙草を配布するなど、天皇家の下賜品にはよく煙草が使われてきましたが、近年は和菓子などに替わっています。
恩賜のシガレットケースに関しては、簡素なデザインでもありボンボニエールほどの人気はありませんが、煙草関連の下賜品は今後希少価値が高まる可能性があります。

花瓶・盃・工芸品

懐中時計やボンボニエールの他に御下賜品には、銀製の花瓶や盃・意匠を凝らした工芸品などがあり、いずれも16弁の菊の御紋が刻印されています。

恩賜の軍刀・恩賜刀

1878年(明治11年)、明治天皇が陸軍士官学校卒業式で2名の優等生に対してこの「御賜」の洋式軍刀を下賜したことが始まりです。日本軍の軍学校(陸軍大学校・海軍大学校等)において、成績優秀な卒業生に授与されました。